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悪魔とトオル 第一話

 誰かが悪魔を喚んでいました。私が行かなくちゃ。なぜだかそう思いました。

 喚ばれて飛び出てみたら、悪魔を喚んだのはさえない感じの若い男の子でした。私が何の気なしにグラマラスでセクシーな悪魔衣装で登場したら、どぎまぎして目を逸らしていました。
「あら、ごめんなさい。私のセクシーな姿を見るのが恥ずかしいのね」
男の子は頷くでもなく否定するでもなく黙っていました。私はロリっ子体型に姿を変えました。周りを見回すと、どうやらこの男の子の自室のようです。
「それで、望みは何かしら。云ってみなさい」
男の子は緊張した面持ちで口を開きました。
「悪魔は望みをかなえる代わりに対価を要求するという。対価が何なのかはっきりしないうちは、僕は契約をしないぞ」
残念です。ガードが固いです。悪魔のことをよく勉強しているみたいです。
 悪魔は言葉に縛られます。だから、明言したこと、されたことに違反する契約をすることはできません。でも逆に云えば、明言していないことなら好きに契約を都合よく解釈できます。これが悪魔のやり方です。
「対価はあなたの望みの大きさによるわ。まずは望みを云ってみなさいな。あなた、名前は?」
「名前を明かしたからといって契約したことにはならないぞ。僕はトオル。お前は?」
トオルは不必要に慎重です。悪魔の手練はもっと他のところにあるというのに。
「悪魔に名前はいらないわ。神話時代なら別として。あなたが私を呼ぶときは、ただ『悪魔』と呼んでくれればいいの。それで、あなたの望みは何?」
「ああ、その……」
トオルは黙ってしまいました。トオルはなかなか口を開こうとしませんでしたが、云おうか云うまいか、云うとしたらどう云おうか、悩んでいるみたいでした。私はトオルの唇めがけてふっと息を吹きかけてあげました。トオルの唇もこれで少しは滑らかになるでしょう。
「好きな娘がいるんだ」
私はトオルの目を見つめ、頷いて先を促しました。
「隣のクラスで、僕と同じ図書委員の娘なんだけど」
私はトオルが話し終わるまで決して口を開きません。こうして視線を送ってあげるだけで、トオルは自分の望みを言葉に形作ってしまうことでしょう。
「べっ、べつに知らない仲じゃないんだ、そこそこ親しいし、順当にがんばれば僕だってその娘と……もっと、仲良くなれると思ってたんだけど。その娘にはもう彼氏がいたんだ。それがまあ、まともな恋人なら僕だって手を引くよ。悪魔に頼ろうなんて思わなかった。でも、その彼氏というのが、よほどひどい奴らしい。僕はべつに、彼女といい仲になりたいとかそういうつもりで悪魔に頼るんじゃないんだ、もちろんいい仲になれたら嬉しいけれども。ただ、彼女がひどい彼氏に振り回されているのが我慢ならない。救い出すためにどうしても力が必要なんだ」
 私は微笑んで大きく一つ頷いて見せました。
「よくわかったわ。お安い御用よ。人間として立派な願い。悪魔に頼るのがもったいないぐらいだけれど、確かにその願いは、あの冷酷な神には絶対に聞き届けられない類のものね。いいわ、引き受けましょう」
「まだだ、代償を聞かせてもらっていない」
「代償ね。死後に魂を貰い受けて地獄へ送るというのが悪魔の流儀ではあるのだけれど、あなたの高潔な魂など地獄へ送っても何の足しにもならないわ。ただ、代償というのではなくて、手段としてね、事を成し遂げるまでの間は、私の云うことに従いなさい。そうすれば、あなたの望みは叶えてあげましょう」

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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