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悪魔とトオル 第三話

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 その日の晩、アヤはバスケ部の練習の夢を見ていました。何とか云う名前の親友の女の子とのパスの息が合わなくて悔しい思いをしている、ありがちな夢でした。私は後輩の姿になって、アヤを呼びました。
「センパイ、お疲れ様です」
「お疲れ様。どうしたの、シューズを片足だけ履いて」
「片方うちに置いてきちゃいました。それよりもセンパイに用があるっていう人が来てますよ。センパイの彼氏じゃないですか?」
アヤと私が体育館の入口を向くと、イケメンな中にも少年らしいあどけなさが残る男の子が制服姿で立っていました。トオルの話では酷い目に遭わされているということでしたが、アヤは至極嬉しそうにケイスケに手を振りました。その仕草と、体育館の空気の変わり方で、アヤがケイスケとの関係に不満を抱いていない、それどころか安心感を持っていることが分かりました。
「部活終わったらマックいこーよ」
「えー、今日も? あんたどんだけマック好きなのよ」
ケイスケはこうして毎日アヤを帰り道に誘っているのでしょうか。もう少したくさん夢を観察してみたいところです。

 次の日の夕方、トオルが私を呼びました。
「なあに、今忙しいのだけれど」
「どうも待つだけの身は焦れったい。僕はいったい何をすればいいんだろう」
「そう急かさないの。悪魔だって全智全能ではないのよ。アヤちゃんがどういう人で、ケイスケがどういう人か、どうすればうまくアヤちゃんを『あなたが』救い出せるか、そういう情報を色々集めているところなの。トオル、あなたは今はまだ、待っていなさい」
待って、待って、そうして憎悪を熟成するのが今のあなたの仕事。そのためには、悪いけれども少し焦れてもらわなくてはいけません。トオルはそれでも納得がいかない様子でした。
「そうは云うけど、悪魔、お前はどんな筋道で事を解決しようと計画しているのか。ひとつその見通しだけでも聞かせてくれないか」
「そうね、やり方はいろいろ考えているけれど、やっぱり『泣いた赤鬼』方式が一番かしら」
「『泣いた赤鬼』と云うと、青鬼がわざと悪事を働いて、赤鬼がそれを退治してみせるという」
「そう。と云ってもケイスケはもともと悪事を働いているらしいから、あとはその現場にあなたが『たまたま』居合わせて、ケイスケを退治してあげられるようなシナリオにできないかな、と思ってるわ。もちろん事情によっては作戦を変えるかもしれないけれどね」
「そ、それはいつごろ実行できるんだ」
「そう急かさないでってば、しつこい人ね。契約がある限り、私は全力を尽くさざるを得ないのだから、大船に乗ったつもりで気長に待っていなさい」
トオルの心にはすでに憎悪が芽吹いているようでした。じっくり育てさせてあげようと思いました。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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