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悪魔とトオル 第五話

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私はわざと知らないふりをしてみようと思いました。
「さあ、トオルの誕生日だったかしら」
「お前、本当に情報を集めているのか。お前が契約に違反したとき、僕にはお前を滅ぼす呪文があるんだぞ」
これは本当です。悪魔は言葉に縛られます。契約に違反したとき(というのは言葉の奔放な解釈によって逃げるのが悪魔の常套手段ですが、どう解釈しても契約に従っていると云い逃れられないとき)には召喚の呪文を逆さから読まれると滅んでしまうのです。トオルが攻撃性を私に向けるほどに溜め込んでいることを知って、私は嬉しくなりました。
「やあね、ほんの冗談よ。ケイスケがアヤちゃんを強引にデートに誘ったんでしょ」
「何だ、知っているんじゃないか。なぜそれを早く云わない。僕がケイスケを殺……いや、ケイスケからアヤを救い出すのは、その日を措いて他に無いじゃないか」
「そうね。実はピースがまだ足りないのよ。日曜日の何時に、どこでデートか。あなた知ってる?」
「いや、知らない。だが、それを調べるのがお前の仕事だろう」
「だからそれを今調べようとしているのだけれど。まだもう少し待ってちょうだいね」
「だめだ。もう待てない。今夜だ。今夜、夢の中でその情報を何としてもかき集めてこい」
「やれやれ、悪魔使いの荒い人ね。夢の情報はその人の深層が強く影響して歪めるから、客観的に確かな情報を集めるのはとても難しいというのに。ま、できる限りのことはやってみましょ」

 夢の中で、私はアヤのお母さんを演じました。「アヤ、次の日曜日、空いてる?」と聞いたら、アヤは「友達と出かける」と云いました。「なあに、カラオケ?」と鎌をかけてみると、「どこだっていいでしょ」とすげないお返事。
「吉祥寺のカラオケだったら、お母さんシダックスの会員証もってるから、貸してあげようかと思ったのに」
「シダックスなんか行かないよ、高いもん」
「まあね、あそこは純粋にカラオケっていうよりも、お酒飲んでごはん食べて、って感じで、学生向きじゃないよね」
「そーそー、やっぱ学生にはうたひろだよ」
「うたひろ、ね…………」
 ぐるんと場面が変わって、アヤはカラオケ店に入っていきます。ケイスケと一緒です。
「カラオケなんて久しぶり。なに歌おっかな」
「初音ミク禁止だから」
「えーなんでよー、いいじゃん初音ミクだって」
この夢の映像で、デートスポットは吉祥寺のカラオケ店「うたひろ」だということがほぼ間違いなく分かりました。
「ねえケイスケ、あたしね、誘ってくれて、とっても嬉しかった。とってもとっても、とっても嬉しかったんだよ」
アヤは感極まった様子で、涙をぼろぼろ流しながらケイスケにお礼を繰り返しています。深層がどう影響してこういう夢になったのだかよくわかりませんが、アヤはともかくデートに誘ってもらってうれしかったようです。
 私は満足してアヤの夢を去りました。アヤがこれだけ嬉しがって楽しみにしているケイスケとのデートです。これをトオルはぶち壊しに行きます。トオルに対するアヤの感情は想像するまでもありません。その時、トオルがどんな絶望を味わってくれるのか、それを想像しただけで私はわくわくしました。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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