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王妃様は魔女 第三話

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 絶望と困窮の農村をよそに、生誕祭は悪趣味なくらい派手に、きらびやかにとり行われました。かかしの王様は普段の王様の服の上から目が痛くなるほどの真紅のマントを着け、口をぱくぱくさせながら観衆に手を振りました。
 隣国の王様は、念のため信頼できる警備兵を十人連れてやってきましたが、警備兵たちは別の部屋に通され、隣国の王様は広い迎賓館に一人で通されました。迎賓館には、美しい衣装ながらも斧槍で物々しく武装した常備軍の兵士たちが不必要に巡回しており、隣国の王様はほとんど捕虜になったような気分でした。
 隣国の警備兵たちはお城の地下に通されました。そこにはずっと多数の常備軍兵が控えており、十人の警備兵たちは一人ずつ武装を解かれました。丸腰にされた隣国の警備兵たちは、頑丈な鉄の扉の付いた地下の狭い部屋に通され、外から鍵をかけられました。要するにそこは地下牢獄なのでした。警備兵たちは「これが客に対する仕打ちか」と口々に罵りましたが、お城の地下での出来事ですから、声は誰にも届きません。よく訓練された常備軍兵にとって、命令と関係のない罵り声を聞かなかったことにするのは簡単なことでした。
 隣国の王様は四六時中、常備軍兵に囲まれて滞在期間を過ごしました。頼りにしていた警備兵たちとは一向に会えません。自分の命が危ういと思った隣国の王様は、現状を祖国の大臣らに知らせる手紙を書きました。隣国の王様は手紙を常備軍兵士に手渡し、兵士はそれを騎士に、騎士はそれをかかしの王様に手渡しました。王妃様はかかしの王様の手から手紙を取って開封し、一通り読んでからそれを暖炉に放り込みました。
 生誕祭の最終日、常備軍によるパレードが執り行われました。先頭は旗手隊、次に太鼓隊が勇ましく太鼓を打ち鳴らしながら進み、その後ろをラッパ隊がきらきらと光る黄金のラッパを高らかに響かせて進みました。その後ろにはマスケット隊が進み、一糸乱れぬ銃の取り回しや、一斉に空砲を発砲する演技を見せました。次には長大な歩兵隊が、サーベルやハルバードといったそれぞれの部隊の武器を誇示しながら進みます。一番後ろには、顔が映るほどに磨きこまれた鎧で騎手も騎馬も全身を固めた重装騎士団が、長く太いランスを天に掲げて堂々と進みました。隣国の王様は、かかしの王様の隣でそれを見て、震えあがりました。
『これだけの軍備を整えた国が我が国に攻め込んできたら、到底太刀打ちはできぬ。帰国したら何としても軍備を増強せねばならぬ』
と隣国の王様は考えましたが、隣国の王様が無事に帰国できる可能性は、この国に来た時点で無かったのでした。

 その日の夕方、王妃様はお城の中庭に処刑用の十字架を用意させ、十人の隣国の警備兵を一人ずつ十字架に縛り付けました。警備兵たちは、頭からすっぽりと麻袋を被せられ、手首、二の腕、足首、首を、太い縄でしっかりと十字架に括り付けられました。わけがわからず混乱する警備兵たちに、王妃様は云いました。
「あなたたちは、お城の中で剣を抜き、罪のない侍従たちを斬り殺しました。間違いありませんね」
警備兵たちは口々に否定し、濡れ衣でこのような仕打ちをする王妃様に罵詈雑言を浴びせました。王妃様は意に介せず宣告しました。
「自分の罪を認めた人は死なせてあげましょう。認められない人は、そこで生きながら苦しみ続けなさい」
警備兵たちは十字架に縛り付けられた状態で身動きの取れないまま中庭に放置されて一晩を過ごしました。ほとんど手首と二の腕だけで体重を支えることになり、縄が食い込んで手足がしびれました。全身が苦痛で満たされ、死んだ方がましだと皆が思うようになった真夜中に、王妃様が再び中庭を訪れました。
「罪を認める気になりましたか」
十人のうち三人が、掠れた声で罪を認めると云いました。王妃様は、その三人の手のひら、腕、足首、脛、太股に、太く長い鉄釘を打ち込んであげました。中庭に苦痛の叫び声が響き渡りました。夜が明けるまで苦しみのうめき声は止むことがありませんでした。夜が明けるころには、三人は絶命していました。他の七人は手足のしびれと吐き気に耐えながら、辛うじて生きていました。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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