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親父の家政婦だった女 第二十二話

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 或る晩、いつも通り夕食を終えて錠剤を服用しようとした手をふと止めて、聞いてみた。
「なあ、西岡」
「何でしょうか」
 西岡は台所でシンクを磨いているところであったが、手を止めて俺の方へ向き直った。
「ふと疑問に思ったんだが、いつまでこんなことを続けるつもりなんだ?」
 西岡はきょとんとして首をかしげる。
「『こんなこと』とは?」
 聞き返されて、俺は狼狽した。果たして「こんなこと」と云って俺は何を云おうとしていたのだろうか。
「つ、つまりだ」
「はい」
「その、……こ、股間に変なものを装着させて、こんな薬を飲ませるようなことを、いつまで続けるのかと」
 西岡は下唇に指を当て、宙を見上げて、しばらく思案してから答えた。
「錠剤は、栄養サプリメントですから、特にいつまでと期限を定めて考えておりません。毎食後、お出しするつもりです。貞操具の方は、」
 そこで一旦言葉を切って、一呼吸置いてから、西岡は薄い笑顔で俺の目を見た。
「何か問題でもありましたか?」
 心臓を鷲掴みにされるような視線だった。自分で墓穴を掘ってしまったことに、今ここで目を合わせて初めて気がついた。

 わかっている。これは誘導なのであって、ここで「外してほしい」とでも云おうものなら、いつもの通り何だかんだと理屈をつけて云いくるめられ、最終的には俺の方から頭を垂れて「外してください」などとお願いする姿勢に持ち込まれてしまうのだ。今の俺は、貞操具を着け始めの頃の俺とは違うのだから、今すぐ外してもらわなければ欲求不満に狂ってしまうような余裕のない状況ではなく、むしろ今は我慢の時であって、西岡が何かを仕掛けてくるのを待つべきなのだということは分かっていた。であるから、俺がここで採るべき選択肢は……
「いや、何でもない。変なことを聞いてすまん」
「いいえ。何か問題があればいつでもお申し付けください」
 西岡には隙が無かった。この会話はこれで終わって、西岡は腰だけで一礼してまた台所に向き直る。俺は仕方なく、飲みかけてやめた錠剤の薬包紙を再び手に取り、グラスの水で喉の奥へ流し込んだ。

第二十三話へ
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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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