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聖トリニティ退魔士会 第三話

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 講義を終え、渡された地図をぼうっと眺める。会合は三鷹市立のコミュニティセンターの一室を借りてやっているらしい。『もみの木の会』そのものの連絡先はどこにも書いてなく、ただコミュニティセンターへの道順とコミュニティセンターの電話番号が書いてあるだけだ。
 後から冷静になって考えれば考えるほど、関わらない方がよさそうな団体だ。ただ、あの女の子、池田さんはもう見学者一名追加と連絡してしまったろうし、俺がここでバックレるとメール連絡が来るだろうし、何より、池田さんは今後もまた大学のラウンジで勧誘をするだろうから、一度バックレた後にそれと遭遇するのは気まずいなあ。
 どう考えても、黙ってバックレるのはだめだ。一旦ちゃんと面と向かってお断りをした方がよさそうだ。そう考えて俺はコミュニティセンターへと自転車を走らせた。

 コミュニティセンターに入ると受付の職員のおじさんが俺をちらりと見た。入口横には利用団体一覧のホワイトボードが立っていて、もみの木の会は二階の第二小会議室を使っているようだ。これって勝手に入っていいのか? 池田さんに俺の連絡先は教えたものの、先方の連絡先を教えてもらっていないから、どうやって入ればいいのかわからないな。
「すみません、『もみの木の会』ですけど」
センター職員のおじさんに聞いてみる。まるでこれじゃあ俺がもみの木の会の会員みたいじゃないか。違う違う、俺は見学者だ。
「あ? 『もみの木』? ああ、もみの木ね。そこのホワイトボード見てくれる? 書いてあると思うんだけど」
おじさんはやる気なさそうにそれだけ云って机に向かってしまう。どうやら勝手に入っていいらしい。

 二階に上ると、すぐ目の前に第二小会議室があって、パイプ椅子に腰かけた女がドアの横にいた。女は俺の方をちらりと見て、微妙な目礼をした。会議室の中からは、大学生ぐらいの男女の話し合う声が聞こえる。
「あの……、『もみの木の会』ってこちらですか」
「あっ、そうですけど、……」
「あの、僕、池田さんという人に呼ばれて……」
女がぱっと表情を明るくして俺を見る。
「ああ! 中村くん? どうぞどうぞ、中に入って」
何だろう。確かに年齢では俺よりも年上みたいだが、何だろうな、この、初対面なのにいきなり馴れ馴れしい『中村くん』呼ばわりは。
 会議室の中は長机が二つくっつけられ、男女六人が囲んで座っていた。各人の前には紙コップにお茶がついである。女はホワイトボードの方、すなわち参加者全員の注目を浴びる方へ俺を引き連れていく。「おおっ」などと云って参加者の視線が俺に集まる。あれ、池田さんがここにはいないぞ。
「はい皆さん、お話の途中ですが、新入部員を紹介します! 国際キリスト教大学出身の中村くんです」
長机を囲む六人から、わあっと歓声が上がる。ちょちょちょちょっ、ちょっと待てぃ! 新入部員とは何だ。
「中村、何くんだっけ?」
「あ、大樹です。じゃなくて!」

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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