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聖トリニティ退魔士会 第六話

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 会合の日、俺は早めに講義を抜け出て、18時に間に合うように会場へ向かった。18時より少し前に会場に着いたら俺が一番乗りだった。後から大原さんや他の中核メンバーの人たちが来て、「中村くん早いねえ、やる気満々だね!」と褒めてくれた。
 その後、会議室の机運びを手伝い、お茶を買いに出る。そのうちにメンバーが徐々に揃ってきた。今日は普段あまり顔を出さない人も来ていて、メンバーが十人以上揃っている。そうだ、今のうちに大原さんに「トリニティ」のことを訊いてみよう。
「大原さん、すんません、今日来る『トリニティ』の田口さん、でしたっけ、それってどういう人なんです?」
「田口先生ねー、なんていうか、すごい人だよー。人間的魅力っていうのかな、いろんなことを経験されてきてる方だし……」
「あっ、いえ、その、そもそも『トリニティ』って何なんですか?」
 大原さんはきょとんとする。大原さんの近くにいた中核メンバーの男性も、きょとんとして俺の方を見た。『まさか知らないなんて』とでも云いたげな視線がちょっと痛い。ああ、訊かなきゃよかったかな。
「まあ、そうね、田口先生に会ってお話を聴けば、すぐにわかると思うよ。あっ、田口先生は六時半にここに見える予定だから、そろそろお迎えに立ってようか」
 大原さんはそう云って『もみの木』会員をコミュニティセンター前の駐車場に整列させた。メンバーは予め確定していたかのようにきれいにずらりと列を作った。何だ、これ。俺も並ばなきゃまずい雰囲気だぞ。俺が列の端に加わると、その隣に大原さんが並んだ。
 そのうちに、タクシーが駐車場に着いて、裾の長い学ランのような服のおじさんが出てきた。あれが田口栄光か?
「田口先生、こんばんは!」「「田口先生こんばんは」」「「「田口先生、こんばんは!」」」
 そこにずらりと並んだメンバーが、一様に大きな声で「田口先生、こんばんは!」と挨拶をした。そうか、ここではそういう挨拶をするべきなのか。俺も慌てて倣って「田口先生、こんばんは!」と声を出したら、隣で大原さんが「ぐっ」とサムズアップをしてくれて嬉しくなった。
「はい、皆さん、こんばんは」
 よく通るクリアな声で田口先生が云う。俺と一瞬目が合った。メンバー一人一人と目を合わせているのだろう。
「今日はお招きいただきありがとうございます。有意義なひと時を共に過ごしましょう」
 田口先生はそう云って皆を見回したあと、もう一度俺の方を見てくつろいだ様子で会釈した。すげえな、この人。なんか、オーラが違う。俺は、しょっぱなの挨拶とアイコンタクトだけで、人間性の器の大きさを感じ取ってしまった。

 会場の会議室に田口先生をご案内する。大原さんが最初司会をして、「『トリニティ』で助祭を務めていらっしゃいます田口栄光先生です」と紹介したが、結局「トリニティ」が何なのかよくわからなかった。
「皆さん、あらためまして、本日はお招きいただきありがとうございます。本日の集まりには、まだ洗礼を受けられていない方もおいでのようですから、一般的に日常生活に深くかかわりのあるお話をいたしましょう。もちろんこれは、洗礼を受けられた方にも有意義なお話になると信じております」
 今、『まだ洗礼を受けられていない方』って云ったぞ。ということはやっぱりここでは、非クリスチャンの方が圧倒的に少ないんだな。

第七話へ
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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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