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王妃様は魔女 第五話

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 そのうちに、隣国だった領土の農村で、反乱が起きました。農民たちが不満を爆発させ、鍬や鎌を手に蜂起したのです。農民たちはまず地主の倉を襲いました。下層の農民にとって直接の搾取者は地主だと思っていたからでした。ところがかわいそうなのは地主でした。小作農たちと同じように重税に苦しんでいた地主の倉はもとより空っぽでした。地主は自分の収入を度外視してお城に収める税をぎりぎり納められるだけの最小限の穀物を小作農からとりたてていただけだったのです。地主は農民に石を投げつけられ、大鎌で首を刈り取られた揚句、犬の餌にされました。農民たちは次に王様のお城を目指しました。飢えて死ぬぐらいならば戦って死ぬ、その気概は周囲の農村にも伝播し、あちこちから農民軍が立ちあがりました。
 王妃様はいつかこうなるだろうと予想されていました。そこで、前々から温めておいた残酷な計画を実行に移すことにしました。常備軍の兵士名簿の中から、反乱を起こした農村の地元出身の兵士を選び出し、それらをすべて鎮圧軍に編入したのです。もっとも、鎮圧軍が反乱軍に共鳴して合流しては厄介ですから、鎮圧軍を不必要に巨大なものにしました。というのは、反乱を起こした農村出身の兵士を鎮圧軍に入れた後、それ以外の兵士をもっとたくさん鎮圧軍に入れて、地元の兵士が簡単に寝返れないように鎮圧軍を編成したのでした。鎮圧軍の出征に当たり、王妃様はかかしの王様を使って次のように激励しました。
「おぬしらの中には、反乱を起こした農村に親兄弟を持つ者もいると思う。今おぬしらは非常につらい立場にいる。世が世なら、反乱軍の係累というだけで一緒に処刑されていてもおかしくなかったかもしれぬ。そのような者は、王国への忠誠を示す好機と思え。道を誤ってしまったおぬしらの親兄弟を鎮め、見事、道を正した者には、それ相応の恩賞をもって報いよう」
その激励を聞いて、兵士の幾人かは絶望の涙を流しました。王妃様はそれを感動の涙ととらえてお咎めになりませんでした。しかし、兵士の一人が「ひどい」とつぶやいてしまったのは聞き逃しませんでした。王妃様はその兵士と同じ部屋の五人組を牢獄に入れ、鎮圧軍が戦っている間の慰みに、手の先・足の先から少しずつ切り落としては止血する拷問をして遊ばれました。
 鎮圧軍には、反乱軍を皆殺しにすること、反乱軍の使っていた武器を持ち帰ってくること、という二つの命令が出ていました。鎮圧軍は、反乱軍に数で勝り、装備で勝り、統率で勝っていました。それは反乱戦争というより一方的な虐殺でした。鎮圧軍は、発狂して自害した兵士一人を除いて、戦死者は一人も出ませんでした。反乱軍の農民たちは、まず矢の雨に打たれて死に、次にマスケットの一斉発砲で死に、横槍から突撃してきた重装騎士に蹴散らされて死にました。鎮圧軍は、反乱軍の鍬や鎌(一部の兵士にとっては懐かしい農具でした)を拾い集め、それを荷車に載せて、沈鬱な面持ちで凱旋しました。王妃様は悲しみに暮れる鎮圧軍の凱旋をバルコニーからご覧になって、艶やかな唇を舌で舐めました。
 王妃様の残酷な計画はこれで終わりではありませんでした。農民たちをもっともっと苦しめるため、王妃様は次のようなお触れを出しました。
「こたびの反乱で、農民が鉄製の農器具を持つことは百害あって一利なしとわかった。農民は今持っている鉄でできているものを全て提出せよ。次の満月の日にまだ鉄を持っている農民は、反乱の意思ありとみなす」
これは刀狩りよりももっとひどい、鉄狩りでした。農民たちは鍬や鎌を出しましたが、鉄製の鍋を持っている家ではどうするべきか大いに迷っていました。鍋ぐらいは許されるだろうと高をくくっていた農家の人は、次の満月の日に牢獄送りになるのでした。さて、農民たちは困り果てました。鍬や鎌がなくてどうして農作業ができるでしょう。銅製の鍬や鎌は、鉄よりはかなり弱いですが使えないほどではありません。しかし、今までだって食うや食わずのぎりぎりで生活していた農民が、どうやったら新しい鍬や鎌を買うことができるというのでしょう。
 集めた鉄を使って、王妃様は街道に関所を建てました。関所では毎晩、隣国へ逃げ出そうとする農民が捕まり、処刑されました。

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Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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