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[T9] まとめtyaiました【聖トリニティ退魔士会 第十九話】

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聖トリニティ退魔士会 第十九話

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「お疲れ様でした。いかがでしたか。私たちのこと、少しわかっていただけましたか」
 首を三十度ほど傾けて、山下さんがにっこりと微笑む。俺は微笑みで応えた。
「それではこれから、他の牧師の皆さんとお茶の時間ですので、食堂の方へ参りましょう」
 午後三時半を回っていた。宿舎の食堂にはお茶の用意がしてあり、俺や山下さんと同じような白い服を纏った牧師の人たちがすでに着席していた。
 食堂に集まった十五人ほどの牧師の中では俺や山下さんは最年少で、上は五十代くらいまで、男性も女性も様々に混じっていた。牧師たちは今日の作業所の様子を話し合い、お茶とお菓子のことを話題にして(何とかいう作業所の製菓工場で作られたらしい)、楽しく語り合っていた。俺に話しかける人はたいてい、ここの合宿所の印象や感想を尋ね、それが好印象であることを確認すると合宿所での生活の素晴らしさや『トリニティ』の天草徳峰大司教の素晴らしさを強調するのだった。俺はその狂信的なところにちょっと辟易しながらも、合宿所の居心地の良さについては完全に同意した。

 こんな調子で一日が終わった(もちろん夕食の前後にもお祈りがあった)。俺は山下さんとともに部屋に戻り、シャワーを浴び、ベッドに潜った。疲れと、眠気と、濃密な一日の記憶で頭がいっぱいで、ふわふわしていい気持ちだった。隣ですやすやと聖なる寝息を立てる美女への欲望を抑えながら、俺は気を失うように眠った。

 次の日は日曜日。牧師は合宿所内に四ヶ所あるチャペルへそれぞれ散って、礼拝の準備をし、礼拝に出席し、後片付けをした。俺は山下さんについていって、見様見真似で礼拝に参加した。とは云っても特別なことは何一つしていない。長椅子を拭き掃除してロウソクを灯し、訪れた求道者、退魔士、悪魔憑きの人たちに「お早うございます」と挨拶するぐらいのものだ。礼拝の最中も、前の方の椅子にじっと座っているだけでよかった。
 礼拝は午前中で終わり、午後は山下さんともう一人の男性牧師と一緒に合宿所内の山道を散歩して過ごした。

 四日目、月曜日には、土曜日とはまた別の作業所と農場に激励に赴いた。そこでも、牧師である俺たちが姿を現すだけで、退魔士や悪魔憑きの人たちは一斉に挨拶をしてくれて、涙を浮かべて感動してくれた。俺はだんだん自分が聖人になったような気がしてきた。
 その午後には、また別のビデオを見せられた。山下さんは前の時と同じように、レモネードのような飲み物を用意してくれた。今回も教団のプロパガンダビデオだったが、異様に長かった。ただ、今回は映像を見ているうちにだんだん気持ち良くなってきて、頭がぼんやりして、ビデオの時間の長さが苦痛にはならなかった。それどころか、ビデオが終わった時には、もっと見ていたかったと思った。セミナールームから外に連れ出されたときにもう空が真っ暗になっているのを見て、その時初めてビデオの長さに驚いた。
 その夜、毎日の食前食後に繰り返し繰り返し繰り返し唱えているお祈りの言葉が、隣で寝ている聖女の寝息とともに、ベッドで寝ている俺の耳の中にぐるぐると回り続けた。

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Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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