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親父の家政婦だった女 第二十九話

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 俺は焦っていた。早く事を済ませなければ、西岡は目覚めてしまう。焦りに焦っていて、鍵を諦めようという考えが浮かばなかったぐらいである。西岡の素足に触れずに、足首の鎖を外し、鍵を得る。この困難な試練のため、俺の身体は前傾して、手と頭が西岡の右足に吸い寄せられるように近付いていた。だから、頭上でもう一度「んん……」という西岡の声が聞こえた時、焦りが募って前にのめり出してバランスを崩し、西岡の足の裏に手のひらを突いてしまったのは、全く焦りのせいとしか云いようがない。

 俺は急いで姿勢を戻し、さも今部屋に入ってきたばかりのように振る舞おうとしたが、すでに西岡は起きて頭をもたげ、こちらを見ていて、俺が取り繕おうとしてあたふたしているところを最初から見られていた。西岡はとろんとした目で俺を見つめ、それから、全てを把握したかのように、にいっと笑った。瞼はいつもよりも二重が厚く、細められた眠そうな目は妖艶さを伴っていた。
「健一様?」
 そう云って見据えられるだけで、俺の口からは出任せの言い訳がすらすらと出てくる。
「すっすまん、きれいな脚があったのでつい近くで見たくなって……いや何を云っているんだろう俺は」
「この足首のアンクレットを取ろうとされたのですか?」
「いやあハハハハそんな所に鍵があったなんて知らなかったな」
「あら、鍵があることによく気づかれましたね」
「う」
 西岡は勝ち誇ってにっこりと笑った。嗜虐的な笑みと云うよりはむしろ慈悲深い笑みであった。
「だいぶなりふり構わなくなってきましたね。ずいぶん溜まってらっしゃるのではありませんか」
「う……む、おかげさまで」
「くすっ。いいんですか? そんな無防備に夜中に家政婦の部屋にきてしまって」
「来いと云ったのはお前だ」
「そうですが……そんなに溜まって切羽詰まった状態で私に焦らされたら、どんなことでも私の言いなりになってしまうんじゃありません?」
 どきりとした。それは俺が以前から薄々感じていた危機感で、しかし逃れようがないので気づかないことにしていた危機感であった。今までは西岡が明言しなかったから、ひょっとしたら西岡に悪気はないのかも知れないなどと楽天的な解釈をして茶を濁していたが、これで西岡が俺を焦らして言いなりにしようという意図を持っていることがはっきりわかってしまった。

 俺は混乱しながら、恐る恐る、しかしなるべく強気に聞こえそうな口調で聞いてみる。
「西岡、お前、最初からそのつもりで俺に禁欲を強いていたのか?」
「あら、どうでしょうか。もしそうだとしても、健一様に選択肢は一つしかないはずですわ」
 西岡は俺の動揺を見透かして、余裕たっぷりに云う。それで、元々動揺していた俺の虚勢は、大方挫かれてしまった。
「そんな、ことはない」
「そうですか? ならばなぜ……」
 西岡が顔を近付けて、俺の目をのぞき込む。
「あんなにも必死に足首の鍵を取ろうとなさっていたのでしょうね」
 西岡の人差し指が俺の胸に触れた。それは乳首から数センチ離れた場所で、快楽の電気を走らせはしなかったが、俺の反論を封殺するには十分な威力を持っていた。俺は返す言葉を失った。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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