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悪魔とトオル第二部 第一話

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 トオルが眠りに落ちたのを確認してから、私はインプを喚び出しました。
「小悪魔、下郎、奴隷、貪る者、出なさい、仕事よ」
『キキッ、仕事ですカ』
 私の手のひらの上に現れたのは見るもおぞましい黒い小悪魔です。
「ええ、仕事よ。この少年の胸に刻まれた今日の素敵な記憶を、上から丁寧になぞって、深く深く刻み込んであげなさい。特に、女の子を征服した快楽をね」
『デハ、少年の魂の一割を給料としていただきましょウ』
「欲張るんじゃないよ、糞虫。報酬はあんたの仕事のでき次第よ」
『それじゃア困ります』
「じゃあ、最低でも一パーセントは報酬を与えましょう」
『もう一声、いただけませんカ』
「ならば二パーセント」
『いや、三パーセント』
「失せなさい。あなたはクビよ」
『ヒッ、待ってくださイ、二パーセントでいいでス』
「黙りなさい。報酬は一パーセント。それ以上は払わないわ。それでよければ、仕事をさせてあげる」
『わ、分かりましたヨ。やらせていただきまス』
 全く、忌々しいインプです。が、仕事はちゃんとやる奴です。トオルは今日の出来事を、深く深く胸に刻み込まれなければなりません。アヤを征服した快楽の記憶を鮮明に保ち、次もまた、と思ってもらわなければなりません。

 トオルのことはインプに任せて、私はアヤを訪ねました。トオルがアヤの体内に放った精のおかげで、アヤの居場所を見つけるのは簡単でした。アヤは市内の病院に運ばれ、個室に一人で寝かされていました。廊下に家族と警察官が、深刻な顔で待機していました。アヤは一命を取り留めたようですが、まだ意識を取り戻していませんでした。
 私はアヤの意識に潜り込み、昏冥に陥っているアヤを呼びました。
――アヤ、アヤ、聞こえますか――
「……ん」
――アヤ、聞こえますか…アヤ……今…あなたの心に…直接…呼びかけています――
「誰、私を呼ぶのは」
――私は、復讐を司る者……イーピゲネイアの娘にして、クリュタイメーストラーの母……。あなたに、復讐の力を授ける者――
「えっ、何、何を云っているのか、わからないのだけれど……復讐?」
――そう、復讐。思い出してごらんなさい。今日、あなたたちが、誰に、どんな目にあわされたか。あなたたちは、二人きりの幸せな時間を過ごしていた。そうよね――
「ええ、でも」
――でも、一人の少年がそれをぶち壊した。あなたたちへの嫉妬に狂って、あなたの大切な人を刺し殺し、そうして、あなたの首を絞め、無理やりに姦した――
「そうよ、アイツ……トオル……あの最低な男……。でも、今ごろは警察に捕まっているはずよ。あたしだって大声で叫んだし、カラオケの店員さんだって来てくれたはず。逃げ場なんかどこにもなかったもの」
――残念ながら、違うわ。少年は、トオルは、悪魔の力を宿している。彼は、誰にも気づかれることなく姿をくらまして逃げたの。警察の捜査は混乱しているわ。誰も犯人の姿を見ていないし、どこにも指紋が残っていない。誰も、あなたの大切な人を殺し、あなたの首を絞めて強姦した犯人がトオルだと知っている者はいないわ。ただ一人、あなたを除いて――
「そんな! まさか!」
――ほんとうよ。人間社会は誰もトオルの犯行を知らない。だから、誰もトオルを裁けない、裁こうともしない。今ごろトオルは、のうのうと逃げ延びて、ニヤニヤ笑いながら次なる凶行の計画をでも練っていることでしょうね――
「ひどい……。許せない」
――そう云うと思ったわ。だから私が遣わされたの。私は、復讐を司る者……あなたに、復讐の力を授ける者――
「私に……復讐の力を……?」
――そう。あなたが本当に心の底から復讐を望むなら、あなたに復讐の力を授けましょう――
「望むわ。あの男……絶対に許さない」
――ならばこの剣を――
 私はアヤの目の前に、金色に輝いて見える両刃の剣を幻出させました。
――受け取りなさい、アヤ。これが復讐の力、そして、契約の証よ――
 アヤは憎悪に燃えて、金の剣を受け取りました。ここに、アヤとの契約が成立しました。私は、アヤの魂にも、「復讐の力を授ける」といった大雑把な契約の範囲で、自由に干渉できる力を得ました。アヤは再び昏睡に陥りました。

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右斜め下

Author:右斜め下
人が苦しむ物語が好きなんだけど、苦しんでいれば何でもいいってわけでもない。
自分でも「こういう話が好きです」と一言で言えないから、好きな話を自分で書いてしまおうと思った。
SとかMとかじゃないんだ。でもどっちかっていうとM。

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